不調PCのOS初期化による回復と、データ保存およびリカバリー方法

長年使ってきたPCが、立ちあがりスピードが5分以上と遅くなったり、頻繁にフリーズしたり、勝手に再起動したりおかしな動きをする、というようなことがあります。

メモリやストレージ対策を実施し、PCに溜まったゴミの除去もやったけれどなかなか解決に至らない、そんなとき最終的な対策は、Windowsの「回復」機能によるOS初期化です

これでPCを購入直後の状態に戻し軽快な動きを取り戻すことができますが、同時に個人データやアプリのバックアップの重要性も理解しておいてください。

今回は初期化に向けて大切なデータの保存やリカバリー方法についても解説します。

以下、Windows10を例として説明します。

参考までに、私の以前のブログに2件ほど関連記事を載せてあります。

「遅くなったPCを回復させるポイントは?」
  ~CPUとメモリ、SSDを徹底解析~

「長年使ったPCのゴミを掃除し、動作を検証する」

スポンサーリンク

OS初期化4つの方法

OSを初期状態に戻してPCの不具合を解消しますが、個人データや追加アプリのバックアップやその復元、アカウント設定等を最初からやり直すことを考えると結構な大仕事となります。

OSの初期化には次の一覧表のように4つの方法があります。

①個人用ファイルを保持して初期状態に戻す

このリカバリーの特徴は、自分で作成した個人用ファイルを残せることです。つまりエクセルやワードで作成した個人用ファイルは残したまま、OSの初期化を行います。

購入時のWindows8.1から途中でWindows10にアップグレードしたPCは、そのまま以前のWindows10が残ります。

一番お勧めの方法はこれです。

すべて削除して初期状態に戻す

 ①の方法でもPCの不調が直らなければ、こちらを選びます。

個人データ、追加アプリ、設定をすべて削除してOSの初期化を行います。

これでPCは購入時の状態に戻りますが、個人データのバックアップが不可欠で、OSのアカウント設定もやり直しが必要です。

③回復ドライブによる初期化

 事前につくっておいた「回復ドライブ」(USBメモリ)を使い、起動不能

となったPCや内臓ストレージ全体の初期化ができます。この方法では個人用ファイルも削除されます。

購入時のWindows8.1から途中でWindows10にアップグレードしたPCは、もとのWindows8.1に戻るので注意が必要です。

④新規インストール

 メーカー製のプリインストールアプリが一切ない、まっさらなOSを構築します。この状態のOSでは機種固有のドライバーソフト等は含まず、問題を起こすこともあるので注意が必要です。

①~④のいずれの方法でも、自分でインストールしたアプリはすべて消えるので、これらのアプリの再インストールを行う必要があります。

初期化に向け確認しておくこと

実際の初期化作業に入る前に、必要なデータのバックアップは必ず実行しておいてください。さらに以下の項目も確認しておいてください。

①の初期化後に残るデータと消えるデータは?

①個人用ファイルを保持しての初期化後、主なデータは次のようになります。

回復ドライブの作り方

まだ「回復ドライブ」を作成していないなら、PCが起動するうちに作っておきましょう。

万一PCが起動不能になっても、回復ドライブから回復環境を呼び出せます。

回復ドライブ用の(ここでは16GB以上の)USBメモリを挿して、スタートメニューから「Windows管理ツール」⇒「回復ドライブ」を起動します。あとは使用可能なドライブのUSBメモリを選び、手順に従って作成します。

OS初期化「回復」の操作方法

ここでは①、②の初期化の操作方法についての説明をします。

Windowsの「設定」⇒「更新とセキュリティ」⇒「回復」⇒「開始する」をクリックします。

続いて次の画面で、

「オプションを選択してください」の①、②いずれかを選択します。

①または②を選択し、あとはウィザード画面に従って操作をし、最後にリセットボタンを押すと初期化が始まります。

その後何度か再起動が繰り返され、30分程度で終了します。

スポンサーリンク

データのバックアップとリカバリー

もっとも一般的な方法はPCに外付けのHDDやSSDのストレージを用意し、そこに必要なデータを確認しながら手動でバックアップ保存し、回復作業がおわったらまた手動で戻してやるやり方です。

MSアカウントでのバックアップとリカバリー

Windowsの標準アプリの設定やデータを残すには、Microsoft(MS)アカウントの同期機能が便利です。

MSアカウントの「同期の設定」がオンの状態を確認して、

初期化の前にPC起動時にMSアカウントでサインインし、オフィスなど標準アプリのデータや設定をクラウドにバックアップ(自動保存)しておきます。

初期化後に同じMSアカウントでサインインすると、データがダウンロードされて実行前の状態に戻ります。

Edgeの「お気に入り」なども該当しますから、標準ブラウザーにしているなら必ず実行しておきたいものです。

MSアカウントでのサインインと「同期の設定」を確認する

ユーザーアカウントには、MSアカウントとローカルアカウントの2種類があります。

自分がどちらのアカウントでサインインしているかは、次のように確認します。

「設定」画面からアカウント名の下に、「Microsoftアカウント」が表示されていれば問題ありません。

「ローカルアカウント」と表示されていれば、切り替えが必要です。

「設定」⇒「アカウント」⇒「ユーザーの情報」の

「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」(この図では「ローカルアカウントでのサインインに切り替える」になっています。)からウィジェットに従い切り替えていきます。

要するに普段から「MSアカウント」でサインインするようにしてください。

次に、「設定」⇒「アカウント」⇒「設定の同期」から、「同期の設定」がオンであることを確認してください。

この「同期の設定」が有効の状態で、初期化後に同じMSアカウントでサインインすれば、クラウドから設定が復元されます。

MSアカウントに紐づけされた主なアプリの復元内容は以下の通りです。

ファイル履歴を使ってバックアップする

「ドキュメント」「デスクトップ」などの個人データは「ファイル履歴」を使うと楽にバックアップできます。以下そのやり方を説明します。

・個人データのバックアップ先として外付けのHDDやSSD、USBメモリなどをPCに接続します。

・「設定」⇒「更新とセキュリティ」⇒「バックアップ」を開きます。

・「ドライブの追加」から「外付けデバイス」(ここではUSBの「リムーバブルディスク))を選びます。

・「その他のオプション」から「今すぐバックアップ」をクリックすると、すぐにバックアップ作業が始まります。

・「ドキュメント」「デスクトップ」などの個人データの保存先が対象になりますが、他のフォルダーも追加できます。

・バックアップの頻度と保持期間をプルダウンメニューから設定できます。

クラウドストレージOneDriveでの自動保存と復元

マイクロソフトオフィス(MSオフィス)の自動保存機能は、お勧めのファイルバックアップ機能です。

私はMSのクラウドストレージ「OneDrive」を7~8年前から愛用しており、Microsoft365のサブスクリプション契約で、1TBの容量が使え大変重宝しています。(無料版で5GB)

特に自宅PCと、外出時のモバイル端末数台を使いまわしするときのクラウドストレージとしては手放せないものとなっています。

最近では個人ファイルのほとんどを「OneDrive」に保存しています。

自動保存機能の使い方

・新規にWordやExcelで文書作成したとき、その時点では自動保存はオフになっています。

・「ファイル」⇒「名前を付けて保存」から保存先を「OneDrive」に設定すると「自動保存」が有効になります。

・これで作成中のファイルは数秒おきに上書き保存され、同時に「クラウドのOneDrive」にも自動的にアップロードされます。

過去のバージョンを復元

自動保存で心配な点は常にファイルを上書きすることですが、OneDriveは上書き前の状態を任意の時点に戻せることです。

・タスクバーの通知領域にあるOneDriveのアイコンをクリックし、「オンラインで表示」を選択します。

・Web版のOneDriveの「自分のファイル」で対象のフォルダーを選択し、復元またはダウンロードしたいファイルを選びます。

・対象ファイルを右クリックします。

・「以前のバージョン」の日付と時間から中身を確認しながら目的のファイルを探します。

・「復元」または「ダウンロード」を選択します。

これでいつでも以前のファイルに戻せるので、大変便利な機能です

削除したファイルを復元する

削除してしまったファイルもWeb版OneDriveの「ごみ箱」から復元できます

但し、復元できる期間は30日間となっていますので注意してください。

さらに高度な復元方法に、OneDrive全体を復元することもできます。

OneDrive ファイルの多くがマルウェアによって削除、上書き、破損、または感染したような場合は、 OneDrive 全体を以前の状態に復元できます。

過去 30 日間にファイルとフォルダーの両方で行われたすべてのアクションを元に戻すことができます。

この操作法はWeb版OneDriveの「設定」⇒「オプション」⇒「OneDriveを復元する」から操作しますが、ここでの詳細説明は省略します。

まとめ

長年使ってきたPCの動きがおかしくなった場合の回復方法について、最終的にはOSの初期化によりPCを購入時の状態に戻してやる方法はそれほど難しくありません。

自分で追加したアプリも、OS初期化後のリカバリーには時間がかかるものの、再度インストールをすれば回復できます。

問題は「個人データ」のバックアップとリカバリーです。これは自分が築き上げてきた財産ですから慎重かつ確実に実行することが必要です。

私は「個人データ」の保存には主に自宅の外部ストレージとして、ネットワーク対応のHDD「NAS」(Link Station)を使ってきてそれなりに重宝しています。

ただ、最近ではクラウドストレージのOneDriveの利用が多くなってきています。ここでもその一部を説明したようにその使い勝手が格段に向上していると思います。

これらの記述が、少しでも皆さんのお役に立つことができれば幸いです。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です