初心者でも、複式簿記の作成と青色申告ができました
私が個人事業主としてスタートしたのが8年前で、その時に始めた青色申告を現在まで8年間毎年続けています。
技術系出身の私にとって、青色申告は言葉でしか分からずゼロからの勉強でしたが、
何とか自力で複式簿記での決算書を作り上げ青色申告を申請することができました。
青色申告に踏み切れないまま足踏みしている方、
あまり難しく考えず先ずは一歩踏み込んでスタートしてみてください。
私の経験を参考に実施して頂ければ、必ず達成できることと確信しています。
必要なことは「習うより慣れよ」です。
ポイントは非常に優れたフリーの青色申告用会計ソフトに出会えたこと、
作成時の疑問点はその都度ネット検索すればほとんど回答を得られたことであったと思っています。
私の経験から、理解に苦しんだ内容や改めて知った事柄等、事例を交えて説明して行きます。
なお、私自身会計に関しては全くの素人ですから、理解が違っている点があるかもしれません。
その点はご容赦頂くとともに、忌憚のないご意見やご指摘を頂ければ幸いです。
また、青色申告の作成に当たっては各種教材も参考にしてください。
青色申告の本
目次
個人事業主と青色申告のメリット
今さら言うまでもありませんが、個人事業主登録をした事業主が青色申告をすることで、色々な特典を受けることができます。
主なものは以下です。
・青色申告特別控除で、最大65万円の課税対象所得額を減らすことが可能。
・赤字を3年間繰り越しが可能。
・少額減価償却資産の特例で、30万円未満ならその年の経費にできる。
青色決算書の作成
先にも述べたように、複式簿記で決算書作成ができたのはフリーのエクセル簿記ソフト、ExcelBに出会えたことです。
他の青色申告用の市販ソフトも同じような機能を持っていると思います。
マイナンバーカードによる電子申告も、確定申告ですでに経験済みでしたから特に問題はありませんでした。
エクセル簿記ソフト ExcelBの概要
無料ソフトExcelBの概要やダウンロードは以下のURLからできます。
エクセル簿記Ver.3.7の公開 | エクセル簿記/ExcelB のはてな? (main.jp)
このURLから無料でダウンロードします。
ダウンロードしたファイルの「はじめに」シートがこの画面です。
最初に会計年度を記入します。
Excelファイルは「仕訳帳」「決算書①」~「決算書④」のシートで構成されていますが、これらのシートを完成させれば複式簿記ができます。
マニュアルは有料(2,200円)で購入してください。
このくらいのお金は払っても当然なくらい価値のあるソフトです。
ExcelBに操作を加える場合のパスワードもここで入手できます。
大変丁寧に書かれているマニュアルです。
各シートの作成例
各シートとも、表の緑色のセル部分に必要事項を入力すると白色のセルには自動的にデータが作成されます。
「シート保護解除」を行わない限り、白色セルにはデータの書き込みができないようになっています。
仕訳帳
最初は仕訳帳への記入から始めます。
決算書①~④は、基本的には仕訳帳に記入された内容をもとに自動的に作成されます。
従って、仕訳帳さえきちんと作っておけば、他はあまり気にしなくて済みます。
事業に関するお金の出し入れが生じたときに、その都度記入していくことが求められます。
あまりため込まず、発生時にこまめに記入するクセを付けることがポイントです。
最初は借方、貸方、勘定科目等の解釈を難しく感じるかもしれませんが、使っていくうちに慣れてきます。
次の各項目に必要事項を記入していきます。
日付、(借方)科目コード、金額、(貸方)科目コード、摘要
例として、下記2項目について仕分け入力してみます。
・5月19日にプリンターインクを1,380円で購入し、個人のカードで支払った。
・5月20日に売掛金174,825円が〇〇会社より事業用の口座に振り込まれた。
勘定科目を何に対応させるかは、最初は多少戸惑いがありますがこれも慣れてくれば大して悩むことはありません。
別シートの「勘定科目コード一覧」を参照して対応しますが、必要に応じ項目の追加や変更も可能です。
仕訳の項目や記帳方法等、不安な内容は「仕訳帳」シート右上「仕訳を検索」からWEB検索すれば、ほとんど回答が得られます。
決算書①~④
決算書①~④は、基本的には(一部を除き)仕訳帳に記入されたデータまたは、次年度への移行手続き結果に基づき自動生成されます。
決算書②・・・月別売上収支、給料・賃金、その他
決算書③・・・減価償却費の計算、その他
決算書④・・・貸借対照表、製造原価
他に元帳、台帳がありますがここでの説明は省略します。
次の年度への移行は、新旧エクセルシート上で行います。操作方法についてはマニュアルに従ってください。
また、青色申告作成用の各種ソフトはこちらから。
青色申告作成用ソフト
特記事項とその作成例
個人事業主として特に留意すべき項目からピックアップして、以下事例を挙げます。
事業主貸、事業主借
個人事業主特有の勘定科目に「事業主貸」と「事業主借」がありますが、専門家の解説を読んでも私にはこれの正しい解釈がなかなかできませんでした。
自分なりに整理すると、大まかな意味合いは、次のとおりです。
言葉の定義もはっきりさせて、
事業主(事業を経営している人)、個人(プライベートで生活している人)とします。(実際は同一人物ですが・・・)
・事業主貸: 事業用のお金を事業主が個人に貸すこと
・事業主借: 事業用のお金を事業主が個人から借りること
会計の専門家の方からは間違いと指摘されるかもしれませんが、私なりの解釈方法ですので悪しからず。
それぞれの記帳事例を示します。
<事業主貸の例>
・9/21に事業用普通預金口座から個人用預金口座に100,000円振り込んだ。
<事業主借の例>
・2/22に事業用普通預金の利息を「事業主借」で仕訳した。
(預金利息は「利子所得」に分類され、事業所得には関係しないものとして事業主借として仕訳)
・2/25に電気代が個人の預金口座から引き落とされた。
(事業按分0.25として算出した分を経費に計上)
私の場合、個人のクレジットカードやSuica等でのキャッシュレス決済が多く、結果として「事業主借」の科目が多くなっています。
家事按分
自宅を事務所として利用している個人事業主の場合、電気料金や通信費、水道光熱費、家賃など、生活のための費用と事業のための費用とで分けることを、家事按分といいます。事業按分算出の事例を下記に示します。
<水道光熱費、共益費、固定資産税、損害保険料等の按分を求める>
①自宅(マンション)で主に事業に使用している面積比率を求める。
②自宅3LDK=洋室1(6.0 畳 )+洋室2(5.5 畳 )+和室(6.0 畳 )
+L・D(11.0 畳 )+K(3.3 畳 )=31.8 畳
③事業で使用している部屋=洋室2(5.5 畳 )+和室(6.0 畳 )=11.5 畳
④この内③の洋室、和室とも仕事に有する面積は70%とすると
⇒ 11.5 畳 ×0.7=8.05 畳
⑤事業に使用する比率=④/②=8.05/31.8 ≒ 0.25 ⇒ 25% とする。
従って事業経費として計上できる割合は25%とします。
これは提出義務はありませんが、税務署から説明を求められた場合速やかに出せるようにしておきます。
減価償却費
個人事業主が青色申告する場合の特例として、30万円未満の償却資産であれば「少額減価償却資産」として購入年度に一括して費用計上することができます。
( 措置法28の2 )
通常の固定資産として法定の耐用年数で減価償却していくことも出来ますが、利益の出ている年度であれば「少額減価償却資産」として一括で費用計上して税金を減らすことができます。
例として
11/2にノートPCを176,880円で購入し、12/31に少額減価償却資産として計上した場合の「仕訳帳」と「減価償却費の計算」への記帳方法です。
<仕訳帳>
<減価償却費の計算>
この場合、摘要欄に「措置法28の2」を明記します。
確定申告
いつものように「国税庁 確定申告書等作成コーナー」のHPから作成して行きます。
私は毎年、「マイナンバーカード」と「ICカードリーダライタ」を使用したe-TAXで行なっています。
今年度から 「ICカードリーダライタ」 不要の、スマホ利用で「マイナンバーカード」の読み取り方式も可能となったようです。
作成すべき青色申告の事業決算書は、ExcelBで作成した「決算書①~④」と全く同様のフォーマットです。
従ってExcelBで作成してあれば、青色申告の書類は問題なく作成できます。
電子申告ですから紙媒体は一切必要なく、自宅から申請できます。
まとめ
個人事業主としてスタートした最初の年は多少の戸惑いはありましたが、青色申告も何とかできました。
個々の事象に関しては、Web検索が大変参考になりました。
ここに記載できないような色々な問題や、解決策がたくさんありました。
複式簿記を学び決算書を作成することは会計処理の勉強になります。
しかし、もっと大切なことは自分の事業の内容を収支の観点から見つめなおすことが出来、改めて大きな収穫となったことです。
自分で事業運営していくうえで、決算書から学ぶことで多くのことを知ることが出来ました。
技術屋といえども経営の基礎である会計の知識を身に着ける重要性に、改めて気が付いた思いです。
冒頭にも申し上げましたが、是非自分で青色申告を実際に行ってみることをお勧めします。