個人事業主登録と青色申告で事業の更なる発展を!
目次
サラリーマン生活に別れを告げ、自分の意志と責任で仕事を続けたい!!
そんな気持ちを持って独立したフリーランスの方はたくさんいるのに、いざそういう場面に遭遇すると個人事業主への登録を躊躇している人を多く見かけます。
- フリーランスと個人事業主はどう違うのか?
- 個人事業主になるには何をしなければならないのか?
- 個人事業主が青色申告するとどんなメリットがあるのか?
- 具体的な複式簿記の作成方法は?
まずは個人事業主に登録し、青色申告することで各種メリットを活用することを強くお勧めします。
更に大切なことは自分の事業を数字で可視化することで、現状から将来において冷静な事業分析を行う目を養うことも出来てくるでしょう。
私は個人事業主に登録しての活動から7年が経ちます。
エンジニアである自分が複式簿記を用いた青色申告も全部ひとりで作成し、電子申告を行ってきています。
以下、私の経験を踏まえて解説していきます。
フリーランスと個人事業主の違いは?
フリーランスとは
会社や団体に属さずに業務を行う、働き方を表す言葉です。
普通サラリーマンは会社との雇用契約の下で働きますが、フリーランスは会社に属さずに自分で顧客から仕事を請け負って働くことを言います。
個人事業主とは
個人事業主は「継続して事業を行う個人」であり、働き方を表すものではありません。
税務署に開業届を出すことで税法上の個人事業主となります。
個人事業主は青色申告を利用することができ、所得から一定の控除を受けることができる等税制上のメリットがあります。
フリーランスは自由な働き方ができる反面、税制上のメリット等を受けることができません。
フリーランスと個人事業主の一番の違いはここにあります。
個人事業主になるために先ずやっておくべき手続きは
事業を行う所轄の税務署に下記の届け出を行います。
簡単な手続きで済みますので、躊躇せずに速やかに行ってください。
「個人事業主の開業・廃業等届出書」と「青色申告承認申請書」の2種類です。届出書はそれぞれA4一枚の簡単なものです。
ネットからダウンロードか、最寄りの税務署にあります。
私がこれらの届け出を行ったのは67歳の時でした。
青色申告するメリットは?
個人事業主が青色申告をすれば次のメリットがあります。
- 青色申告特別控除、条件により(10万円、55万円、65万円)が受けられる。
基本的なことですが、特別控除により課税対象となる所得額を減らすことができます。
その結果所得税、住民税を節税でき、さらに国民健康保険料についても減額することが可能です。 - 赤字を3年間繰り越しできる。
特に事業開始時でしばらく赤字が続く場合には効果的。 - 30万円未満の減価償却資産は、即時償却で一括経費での処理が可能。
中小企業や個人事業主の特例で、通常10万円以下の資産に限られる減価償却が30万円まで一括経費での処理が可能。
例えば、30万円未満のパソコン購入時に適用すれば一括経費での処理が可能となります。 - 自宅をオフィスにすると、家賃や電気代の一部も経費にできる。
事業での使用割合で按分すれば、自動車や固定資産税等の費用も経費処理可能です。 - その他(家族への給与が全額必要経費にできる等)
青色申告特別控除とは
65万円控除の要件
・「複式簿記による記帳」が行われている。
・「電子帳簿保存」または「e-Tax使用」が行われている。
55万円控除の要件
・これは「電子帳簿保存」または「e-Tax使用」を満たしていない場合。
10万円控除の要件
・65万円、55万円控除の要件を満たさず、「単式簿記」を使用している場合。
白色申告とは
青色申告の届け出を行っていない個人事業主は、自動的に白色申告を行うことになります。
白色でも簡易な帳簿付けは必要ですが、特別控除はありません。
これなら届け出を行い、青色申告の10万円の特別控除を行う方が現実的でしょう。
青色申告のデメリットは?
複式簿記での記帳が必要
青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で帳簿をつける必要があります。
ただし、会計ソフトを使うのであれば、仕訳帳への記録をつけていくだけで、「決算書」や「貸借対照表」「総勘定元帳」等は自動で生成されます。
「個人事業主の開業・廃業等届出書」と「青色申告承認申請書」の提出が必要
先に説明したように、これらの届け出をやっておく必要があります。
ただし、これらはいずれもデメリットと言うより、青色申告の必要要件と考えるべきでしょう。
複式簿記を作成する為の優れたフリーソフト
複式簿記と聞くと、先ず面倒で自分には無理、とあきらめてしまう人が多いと思います。私も最初はそうでした。
そんな時に知人から紹介された次のフリーソフトが超スグレモノでした。
エクセル簿記「ExcelB」
これはマイクロソフトの支援を得てソフト開発を行っているKACが無料配布しているテンプレートで、著作権は新妻俊栄氏が有しています。
ソフトは無料でダウンロード可能です。
アップデートも適宜行われており、安心して使えます。
マニュアルが3,000円ほどかかりますが、大変詳しい丁寧な説明書です。
このソフトのおかげで簿記には全くの素人であった私が、最初の年から手探りの状態でしたが、複式簿記の作成や青色申告書の作成も出来ました。
青色申告の有料ソフトといえば、MFクラウドやfreee、やよい、などがありますが、この「ExcelB」は7年間使い続けた私にとってはベストなソフトです。
青色申告で確定申告を行う
「ExcelB」では以下の内容が作成されます。
自分で入力するのは「仕訳帳」と「減価償却費の計算」(必要なら)の各シートのみで、それ以外の複式簿記は自動で作成されます。
・仕訳帳
・青色申告決算書①
・青色申告決算書②
・青色申告決算書③(減価償却費の計算)
・青色申告決算書④(貸借対照表)
・総勘定元帳
・固定資産台帳
ここで実際に自分が日常記載していく作業の9割は「仕訳帳」です。
仕訳の内容や勘定科目について不明の場合、ほとんどがWeb検索で解決できます。
後はすべて自動的に計算されるので、そのまま確定申告書の決算書様式に記載すれば完成します。
令和2年度の青色申告での特記事項
今年度から、今まで計上してこなかった自分の住宅(マンション)を固定資産計上し、減価償却を開始しました。
これにより按分後の減価償却費として9万円ほどの費用を計上することができました。
※※この詳細については別の機会に説明します。
おわりに
私は個人事業主スタートの年からe-Tax使用による電子申告をやっています。
7年目になりますが、申告時や後で特に問題が生じたことはありません。
会計士や税理士にお願いするまでもなく、自分で勉強して実行してみてください。
最初にも述べましたが青色申告の作業を通して、自身の事業の内容を把握でき、
どこに投資をしてどこを改善していくべきかが見えてくるようになることは事実です。
是非皆さんも個人事業主と青色申告への登録をし、事業を更に発展させてください。